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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 0-10

 その顔に害意なんてひとつもなさそうな笑みが浮かぶ。天使のよう、とよく評されているそれ。  ただ、春にはじめて会ったときから、ずっと違和感のあるものに、皓太には見えていた。 「やっぱりすごいね、高藤くんは」 「うん、ありがとう」  先ほどクラスメイトに返したものと同じ微笑を、皓太も浮かべた。  特別な相手からの賞賛でもなんでもない、ただのクラスメイトから受けた、普遍的な祝いの言葉なのだと暗に示したそれにも、水城は変わらなかった。にこ、とほほえむ。 「おめでとう。高藤くんなら通るかなぁとは思ってたけど、それでも本当に通るんだから、すごいよね」  だって、と水城が言う。 「どんなアクシデントが起こるかなんて、わからないものね。本当によかったね、なにも起こらなくて」 「そうだね。よかった」 「本当に。でも、それも、高藤くんが路線を引き継いでくれる未来を喜ぶ、先輩たちの力なのかな」 「否定はしないけど」  自分たちを注視しているクラスメイトの視線を感じながら、皓太は頭を振った。 「あの人たちがつくったここを望んでいる人が、それだけ多かったってことじゃないかな」

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