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パーフェクト・ワールド・エンド3-3
表面的な数で言えば、ここで五分。そして構内で、また風紀と生徒会だ。
今はまだ、生徒会側に寄る人間の方が過半数だろうが、次に何かがあれば、ひっくり返っても何らおかしくはない。そう言う状況だ。
――一手、ねぇ。
それもまた、想像に易い。ただ。
――どうなろうが、核はそう簡単には変わらない。
そう分かっていてもなお、足を踏み出してしまったのは、ある意味では感傷なのだろうな。向原は自身の行動原理をそう理解している。
この学園の中で創り上げられた檻があるからこそ守られているものもあれば、その存在ゆえに圧し潰されているものもある。
今だけだから、と。かつて成瀬は良く言っていた。この学園の外は、良くも悪くも第二の性に支配された世界だから。せめて、ここにいる間くらい。アルファもベータもオメガも何も関係のない世界が良い。友人関係を築くのに、第二の性なんて関係ないだろう。だから、ここは、ただただフラットな世界にしたい。第二の性なんてない、世界にしたい。
そんな世界、あるわけがないだろう。
初めからずっと向原は思っていた。ただ、否定はしなかった。その夢のような――どちらかと言えば、悪夢にも近いと思うが――、世界がもしこの世界の底辺とされるオメガの手によって創り上げられる、と思うと、少し興味が湧いたからだ。なんて皮肉だ、とも思った。暇つぶしにはちょうど良いとも思っていた。
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