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パーフェクト・ワールド・エンド3-4

 向原にとって、外の世界で自分に寄ってくる人間は、みなアルファの中でも一等に優秀とされる己の第二の性に引き寄せられてくる人間ばかりだった。だから、表面上だけとは言え、その煩わしさがなくなるのならば、有りかもしれない、とも思った。けれど、その程度だ。  その、成瀬の言うところの楽園に、結局のところ一番、成瀬自身ががんじがらめに締め付けられて縛られている。 そう気が付いたのは、夢の世界が形成された後だった。  ――それも、べつに、どうでも良かったんだけどな。  たとえそうであれ、あいつが納得しているのなら。騙し騙しに付き合ってやっても。あと半年だ。  そう割り切っていたはずの、何かが切れた。つまり、それだけの話だ。それだけの話で、誇張ではなく今ここが揺れている。  馬鹿らしいと思うと同時に、やはりなと言う諦念もある。  そんな世界が、いつまでも続くわけがなかった。分かり切っていたことだ。 「オメガがアルファに勝てるわけがない」  それが、幼子でも知っている、この世界の摂理だ。 「探したぞ」  屋上の扉が開いて第三者が入って来たことも、傍に立ったことも分かっていたが、特に向原は振り返らなかった。ここに来るだろう人間は二人しか思い当たっていなかったからだ。篠原か、茅野。ここに来て、世話を焼こうとする奇特な少数派。 「と言っても、おまえが生徒会室にいないとなれば、ここくらいしか心当たりはなかったがな」

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