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パーフェクト・ワールド・エンド3-5
その少数派の後者が、いつもと変わらない声で笑う。昨日のどんよりとした顔は捨て去って、また新しい寮長の仮面を装着したらしい。
――ある意味で、こいつはあいつと似てるけどな。
徹底的に、役割を全うしようとすべきところ。
「それ、べつに探してねぇだろ」
「そうだな。探すのに手間取ったと言うよりかは、話を聞く覚悟を付けるのに手間取った、が正しいな」
いっそ気持ちの悪いほど素直に吐露をした茅野の横顔に、ちらりと視線を送る。その目線は、先程、向原が見ていたのと同じように寮棟の方を向いていた。
「どうするつもりなんだ、おまえは」
こちらを向くこともなく、単刀直入に茅野が言う。同じような台詞を、いつだったか篠原にも問われたことがある。そのときは、「どうもしない」と答えた。
今も、一緒だ。あの時から、そう言う意味では変わってはいない。だから、向原は小さく笑った。
「どうもしねぇよ。と言うか、だ。そもそもとして、俺は一度も積極的に何かしらをしようと動いたことはない」
「そんなことはないだろう」
いとも簡単に一蹴して、茅野は続ける。
「おまえは、ずっと、成瀬が望む結果になるように、手を加え続けていたじゃないか」
「……」
「どうもしない、と言うのは、それを止めると言うことで良いんだな」
「べつに」
溜息のようにして、吐き出す。
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