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パーフェクト・ワールド・エンド3-6
「俺が何をしなくとも、あいつは好き勝手にするだろ。今までも、これからも」
「それは否定はしないが、まぁ、だが、そうだな」
変わらない、淡々とした声だったが、語尾が少し迷うように揺れていた。本当に聞きたかったことは、その先の話だろう。分かっていたが、向原は遮らなかった。
「あいつは、俺たちとは違うのか」
応じなければ、それが答えになるだろうとも分かっていながら、ふと問いかける。「なんで?」
どうして、そう思ったのか。あるいは、それを聞いてどうするのか。
どちらとも取れる問いかけに、茅野は一瞬、言葉を飲んだ。けれど、すぐにいつもの調子で軽く笑った。
「何。もし、そうだったら、話は案外、単純に回るのではないかと思っただけだ」
単純。――単純、か。
「アルファとオメガだったら、俺とあいつがまとまるって? ないだろ」
吐き捨てて、向原はフェンスの金網を指先で叩いた。鈍い振動が伝わる。有り得ない。
「あいつのID、見てみたら良い。第二の性は『アルファ』だ」
この国の人間が持つ、公的な身分証だ。第二の性も勿論のこととして記載されている。以前、見たことがあるそれは、確かにそうなっていた。どんな手を使ったのかは知らないが、そうなっていた。
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