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パーフェクト・ワールド・ゼロⅤ①

[卒業編]  恋愛って、笑える。  自分がうまくやるために、相手が勝手に抱く好意を利用することは、水城の常とう手段だ。  ある程度の好意が離れていかないように、適当に愛想も振るし、ある程度以上の相手なら、きちんとご褒美も与えて、それなりに良好な関係を築くこともある。  そうすることが、自分にとって「いいこと」だからだ。  だから、なんの変哲もない、――本来だったら、興味を持って話しかけるような相手ではないベータに、自分の大事な時間を割いているのだ。  その事実をもっとありがたく感じてくれたらいいのになぁ、なんて。とりとめもないことを考えながら、話の最後に、水城はもう一度ほほえんだ。 「それって、脅してるつもり?」 「まさか」  精いっぱいというふうの虚勢を、さらりと笑い飛ばす。そもそも、脅すなどという低俗な真似なことをしたことは、一度もないつもりだ。  自分はいつもお願いをしているだけ。今日、彼を裏庭に呼び出したこともそうだ。本当に脅すつもりだったら、もっとわかりやすく何人も取り巻きを連れてきている。それだけの駒を自分は持っているのだから。 「絶対に僕はそんなことはしないけど、もし、そんなことをするつもりがあったら、ひとりでなんてやってこないよ」  そう思わない、と笑って問いかける。警戒心をあらわにする瞳をじっと見つめたまま。 「ねぇ、四谷くん」

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