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パーフェクト・ワールド・ゼロⅤ②
そもそも、こんなふうに話をすること自体、今日がはじめてというわけでもないのに。あいかわらずの被害者根性だ。
まぁ、そういうところが、利用しやすいのだけれど。オメガになってアルファに選ばれることもできない、なにものにも一生なることのできない、ただのベータ。
かわいそうだな、と思う。
「それに、僕は、ただ、僕の目に映るそのままを話しただけのつもりだったんだ。けど、それが、四谷くんを傷つけたのなら、ごめんね。謝るよ」
でも、と沈黙を続ける相手に、水城は続ける。
「だって、高藤くんも、荻原くんも、榛名くんのことが好きじゃない?」
アルファがオメガに惹かれることは、ごく自然なことだ。ただのベータがひっくり返すことができるわけもない。けれど、その事実を率直に伝えるほど、水城は無邪気ではないつもりだ。
そう。だから、これは、「心配」だ。
「それで、榛名くんのことを、すごく大事にしてるでしょ。あんなことがあったから、余計に。……それで、これはすごく悲しいことなんだけど、ふたりとも僕のことをよく思ってないから。だから、四谷くんが、実はずっと僕と仲良しだったって知ったら、余計なことを考えちゃうんじゃないかなって」
「仲良し?」
「ひどいなぁ。そんな顔されたら、傷ついちゃうよ」
嫌そうに眇められた顔をにこにこと見つめて、ほほえむ。
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