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パーフェクト・ワールド・ゼロⅤ③

「それに、僕たち仲良しでしょう? だって、僕は、今までも四谷くんにいろいろとお話してもらって、すごく楽しかったし。これからも、もっといっぱいしたいなぁって思ってるもの」  だからね、と水城は笑顔で駄目を押した。自分の要望が通らないことなんて、ほとんどないと知っている。この場に関して言えば、百パーセントだ。 「四谷くんが勘違いで非難されたらかわいそうだなぁって心配になっちゃったんだ。四谷くんがこれからも仲良くしてくれるなら、本当は仲良しなこと、僕、これからもちゃんと秘密にする。だから、安心してくれたらうれしいな」 「……」 「それとも、四谷くん。もしかして、本当に脅しだって思ってる?」  そんな野蛮な人間だと思われているなんて、心外だなぁ。ほんのわずか、悲しそうに眉を寄せてみせてから、そっと言葉を継ぐ。 「でも、じゃあ、どうして相談しないの? もし、本当に、そう思ってるなら、相談したらいいと思うんだけど。違うかな。高藤くんはもう生徒会長なんだし、荻原くんだって、櫻寮の寮生委員なんだよね」  嘘、嘘。できるわけないよね。知ってる。じゃあ、なんで、脅されたのかって話になるものね。その話を、絶対にしたくないんだもんね。嫌われたくないから。実る可能性がゼロでも、好きな相手だから。本当に健気だなぁ。笑いそうになるのを堪えて、再び黙り込んだ相手に問い重ねていく。

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