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パーフェクト・ワールド・ゼロⅤ⑥

 ――あぁ、でも、僕が編入してきて、四谷くんの取り巻きは、だいぶ減っちゃったんだっけ。そう思うと、やっぱり悪いことしちゃったのかなぁ。  けれど、それも、「オメガのいない世界」だったから生じていた「ちやほや」だったわけで。本物が現れたのだから、まがい物は淘汰されてもしかたがないだろう。やっぱり、僕はなにも悪くない。 「でも、大丈夫。僕は四谷くんの友達だから。なにも言わないよ」  悔しいのだろうか。それとも、図星が過ぎて恥ずかしいのだろうか。震える指先を握り込んで無言で睨んでくる相手に向かって、優しい声で告げる。 「それに、さっきも言ったけど。僕はね、四谷くんと本当に仲良くしたいと思ってるんだ。だからこうやって喋る機会をつくってるわけだけど、それを脅しだって言われたら、悲しくはなっちゃうなぁ」  そうしたら、ひとりで抱え込めなくなっちゃうかもしれないな、とひとりごちる調子で呟いてから、水城はくすりとほほえんだ。 「僕は四谷くんみたいに強くないから、誰かに泣きついちゃうかも。ずっと仲良くしてた四谷くんに、最近無視されてるんだけど、僕、なにか悪いことしちゃったのかなぁって」 「……水城が、なにも悪いことしてないって思ってるなら、そうなんじゃない?」

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