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パーフェクト・ワールド・ゼロⅤ⑩
選挙が終わって、半月が経った。生徒会の新体制への移行はつつがなく進んでおり、十二月になれば、自分たちだけでの活動が開始になる。
その輪の中に残ることができたのだから、しっかりとがんばりたいと思っている。でも、なんだか、自分のやること成すことすべてが裏目に出てしまいそうで、行人はそれがすごく怖い。
高等部に入って変わったと言ってもらうことが増えて、自分でも昔よりうまく人付き合いができるようになった気がしていて、でも、そんなことはまったくなくて。
その事実を知ったときから、自分を過信してうぬぼれていたことが、そうして、気がつかないあいだに、できているつもりで、誰かを傷つけていたということが、恥ずかしくて、申し訳なくて、そんな自分がたまらなく嫌だった。
こんなふうに思ってしまうくらいなら、こんな感情を抱えたままあと二年以上過ごさないといけないというのなら、変わらないままの――ひとりでずっといることのできる自分でいたらよかった。
そうであれば、自分にも、他人にも、なにも期待しないままでいることができたのに。
傷つかなくて、済んだのに。
うつむいたまま、足早に廊下を進む。高等部に上がって当初は緊張していた生徒会室に向かう道も、今はするりと進むことができる。教室よりもよほど落ち着くからだ。
――でも、あんまり行き過ぎると、変に思われるよな。
三度溜息を呑み込んで、行人は小さく頭を振った。できるだけ、なんでもない顔をしていよう。過剰に気にされたくはないし、気を使われたくもない。
最後の意地みたいに、行人は自分にそう言い聞かせた。もう間もなく、高等部で過ごすはじめての冬がやってくる。
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