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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 1-1
[1]
来遊には月が替わって十二月になろうというころ。多忙を極めていた引き継ぎの案件も落ち着き、少し息を吐くことができるようになった皓太には、どうにも気になっていることがあった。
……あれ、昼休みにわざわざ絶対来てやらないと、みたいなやつじゃないよなぁ。
いつかはしないといけないものであることに間違いないが、昼休みにわざわざ来てするようなものではない。今の自分には、そう断言することができる。
まだ慣れない位置から生徒会室を見渡して、皓太はひっそりと首をひねった。
急ぎの仕事というわけでもないものを、黙々と片づけている榛名からは、「自分の取り分の作業をやっているだけなのだから、無駄に話しかけるな」というオーラがにじみ出していて、端的に言って、ものすごく居心地が悪い。
いや、それは、まぁ、あのふたりが冷戦を繰り広げていたときよりは幾分もマシだけれど。と、考えたところで、皓太はそれ以上をやめた。比べる事例が悪すぎる。
そうして、もう一度、様子を窺う。
「……」
また、溜め込んでんだろうな。あれ。正確に理解して、皓太は重苦しい気分になった。
なにを溜め込んでいるのかは、意味もなく昼休みにここに逃げてきている時点で察すことはできるのだが、なんだか、ようやく少し懐いてきた野良猫が、また野生に返ったみたいな感じだ。言わないけど。
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