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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 1-6

「いや、べつに、それはどっちでもいいんだけど」  本当に、そんなことはどうでもいい。うんざりと皓太は首を振った。今は自分が会長だとかなんだとか、そんなふうに張り合うつもりもさらさらなかったので。 「俺、実は、気になってることがあってさ」 「気になること? 榛名のことで?」 「いや、よっちゃん」 「あぁ」  おまえ、最後の一撃の手助けしたとかで気にしてたもんな、とまでは言わず、相槌を打つ。その後、気にしておくよ、と言っていたので、気をつけて見てくれた結果なのだろうとわかったからだ。  生徒会の引き継ぎが最悪の想定よりははるかにスムーズに進んで一安心はしているものの、余裕があるとは口が裂けても言えない有様なので、荻原が細やかに配慮してくれていることも、正直なところものすごく助かっている。 「確証のない話だから、あんまり大きな声では言いたくないんだけど。……その、特に教室では」 「教室ではって」  覚えた嫌な予感におのずと声のトーンが下がる。その反応に、荻原が、はは、と力なく笑って眉を下げた。 「そう、ハルちゃん」 「……」 「証拠もなにもないし、俺の想像の域を出ないはなしなんだけどさ」 「……うん」  やっぱりなぁ、と溜息まじりに頷く。表面上は穏やかを装い続けていたことが、また気持ち悪かったんだよなぁ。

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