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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 1-7

「もしかしてなんだけど、ここ最近のよっちゃんの元気のなさ、ハルちゃんが関係したりしてないかな」  確証もなにもないうちから、疑ったりなんてしたくないんだけどね、と困り顔のまま付け足して、でも、と荻原は言った。 「本当にこんなことは言いたくないんだけど、ハルちゃんだからね」  ――わかってもらえないのは寂しいから。僕、わかってもらうために、一生懸命がんばるね。  にこりとほほえむ、奇妙なくらい無邪気な笑顔。億劫だという感情を押し隠して、うん、と三度皓太は頷いた。  高藤は面倒くさい子だって思ってるところがまだあるかもしれないし、まぁ、実際、なかなか面倒なところもあるなぁと思うこともあるけど。よっちゃんは、あれで、自分の筋の通らないことはあんまりしないんだよ。  プライドが高いっていうのと紙一重な感じはあるんだけど。でも、そういうプライドのある子だからこそ、榛名ちゃんに当たり散らしたらしいことが、やっぱりちょっと意外だったんだよね、と。荻原は四谷のことを語った。  ――四谷本人に聞いても素直に言ってくれない気がするから、もうちょっと水城のほうから探りを入れてみるつもりだって言ってくれたことも、まぁ、正直、めちゃくちゃありがたいんだけど。  榛名と違って引きどころもわかっているだろうし、不必要に過剰なことをするタイプでもないし。そもそもとして、自分よりも交友関係の広い人間なので、「探りを入れてみる」という行動も得意分野なのだろうし。  でもなぁ、と生徒会室の鍵を閉めながら、皓太は小さく息を吐いた。放課後に何時間か残っても夏のころは明るかったけれど、今は同じ時間でもすっかりと暗くなっている。

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