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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 1-8

 薄暗い廊下を歩きつつ、もう一度首をひねる。  ――それはそうとして、荻原がそう感じてることを、学年が違って接する時間も少ないとは言え、あの人たちが気づいてないとは思えないんだよなぁ。  そうだとすると、それを自分に伝えないのは、向こうで勝手に処理するつもりだったか、あるいは、もうそういったことの一線からは手を引いたという意思表示化のどちらかに違いない。  後者であるのだとすれば、ある意味では信頼の上で放置されたということなのかもしれないが。  ――でも、最近の茅野さんとか成瀬さんとか見てると、後者な気がするな。  自分たちがなにも気づかなければ、さすがに一声くらいはかけてくれたと信じたいけれど、生徒会選挙が終わってからというもの、とくに成瀬は、自分はもう第一線は引いたのだという雰囲気をにじませることが多かったかもしれないな、とも思う。   まぁ、いいんだけど。そう思うことで、皓太は自分を納得させた。生徒会を引退したということは事実で、受験が控えていることも事実だ。そちらに専念するというのなら、それはそれでいいことなのだろうし。  ――茅野さんは、年内いっぱいは寮長なわけだし、さすがにそこまであからさまに退かないとは思うんだけど。  そう。そうは思うのだが、同時に、ちょっとよくわからないな、とも思う。いや、もちろん、信用はしているのだが、幼馴染みに比べると解像度が低いというか、たまに、実はとんでもなく過激なのではないだろうかと疑う瞬間があるというか。

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