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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 2-2

「今日も生徒会なんだよね。やっぱり忙しいんだ?」 「あ、……うん。その、まだ変わったばっかりだし」  そんなつもりはないとわかっていても、逃げていると責められている気がして、つい受け答えがしどろもどろになる。その反応に、岡が素直に困った表情で笑った。 「そんなに構えなくても。本当、ただの世間話」 「あ、……うん」 「追いかけてまですることかって感じかもだけど。ほら、最近、寮でも、教室でもぜんぜん喋ってなかったから」 「……いや、うん。そうだよな」 「そう、そう。生徒会は高藤もいるし、あ、荻原もちょいちょい顔出してるんだっけ? 楽しいと思うけど、また教室でも喋ったりしようよ」  申し訳ないくらい気を遣われているなぁと思いつつも、うん、と頷く。 岡に対しては、気を遣うなと腹が立つことはないので、あの感情は高藤限定なのかもしれないとも疑いながら。 「四谷も、そう思ってるみたいだし」  努めてなんでもないふうに続いた台詞に、一拍置いて行人はもう一度頷いた。 「ありがと。時間できたら、そうする」 「うん」  じゃあ、また。がんばってね。人当たりの良い笑顔に、ぎこちなく手を振り返して、踵を返す。  けれど、生徒会室にそのまま向かう気にはどうにもなれなかった。角を曲がり、岡から見えなくなっただろうあたりで進む方向を変える。

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