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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 2-7

 その行人をじっと見つめていた成瀬が、ふっと柔らかな笑みを浮かべた。 「それとも、本当になにかあるなら、聞こうか」 「えっと……」  優しい表情を見ていたら、言う必要のないことまでぽろぽろとこぼしてしまいそうで、うつむく。  まだこの人が正しく生徒会長だったころ、距離を取られているのではないかと疑ったことがあった。もちろん、冷たく拒絶される、というようなことではなかったのだけれど、やんわりと「これが本来の先輩後輩の距離だよ」と諭されているような。  そうして、それは、高藤が会長になってからも続いていて。必要な引き継ぎが終わると、あっさりと顔を出さなくなった。その彼が、またこんなふうに尋ねてくれている。  きっと、自分が、それほどの態度を見せているのだ。駄目だな、と呆れた。本当になにも変わっていないし、心配させ続けている。 「……成瀬さんは」 「なに?」 「勉強ですか」  質問の答えとまったく関係のないことを問うた行人に、成瀬は苦笑したようだった。ぱら、とページを繰る音がする。 「まぁ、一応、受験生だしね。行人がどう思ってくれてるのかはわからないけど、俺はけっこう努力型だから」  予想外の返答に顔を上げると、ばちりと目が合った。その瞳がにこりとほほえむ。かつてずっと好きだったもの。 「天才型っていうのはね、あんまり認めたくないけど、篠原みたいなのを言うの。あいつ、本当に勉強してないのに、それなり以上にできるからね」

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