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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 2-10

 取り繕いたくて、はは、と小さく笑う。みっともないことは、本当に自分でもよくよくわかっていた。 「実はぜんぜんだったっていうか、俺ができてるって、うまくいってるって思ってたのは、ぜんぶ向こうが我慢して合わせてくれてたからなんだって、ようやく気づいたっていうか」 「そっか」 「そうなんです」  あっさりとした相槌に救われた気分で、また少し行人は笑った。きゅっと握った指先に力を込めて、続ける。 「それで、……よかれと思ってやったことがぜんぜん実はよくなくて、我慢させて傷つけてたんだって思ったら、なんか、なに言ったらいいのかわかんなくなっちゃって」 「うん」  そっか、と同じ相槌を繰り返してから、難しいよな、と成瀬は言った。 「こんなこと言うのもどうかと思うけど、他人の感情なんて誰にもわからないんじゃないかな。寄り添えてるって自信満々に言うやつもいるけど、あくまでもそいつの想像する寄り添いでしかないんだろうし。……まぁ、たまにはぴったりはまることもあるんだろうけどね」 「えっと……、その」 「うん」 「成瀬さんは、たとえば、高藤の考えてることとかもわからない……ですか」  あまりにもさくっと切り捨ててるようにも聞こえてしまって、思わず行人は問い返した。たぶん、この人の、一番付き合いの長いだろう相手。その名前に、一拍置いて、成瀬が笑う。

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