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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 2-12

 成長、と繰り返した行人に、また説教くさくなったな、と苦笑を浮かべていたけれど、そんなことはなくて。  ただ、変わることは怖いな、と思った。自分が変わろうとした結果として、今、うまくいっていないせいかもしれない。  変わりたいと思っていたはずだったのに。その悶々を読み取ったようなタイミングで、大丈夫だよ、と成瀬は請け負った。 「皓太だけじゃなくて、行人も少しずつ、でも、ちゃんと変わっていってるから。まさに今が変わってる最中だから、しんどいんだろうと思うけどね」  でも、大丈夫だよ、と付け加えられた励ましに、少しの間を置いてこくんと頷く。安心したかったし、縋りたかったし、安心してほしかった。 「俺もいくらでも話は聞くけど、ほかの人の考えも聞いてみたいなって思ったら、声をかけてみてもいとは思うけど。皓太とか、荻原とか、そうじゃなくてもクラスの子とかでも」 「はい」 「視野も想像力もひとりだと広げるにも限界があるから。……でも、そうだな」  そこで一度言葉が途切れる。首を傾げた行人に、ほんの少し困ったふうに笑みが揺れる。珍しい表情だな、と思った。 「これは俺の主観だけど。行人は、自分の言動の積み重ねが原因だって思ってるみたいだけど、そうだとは限らないんじゃないかな」

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