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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 2-14

「皓太が直接の原因ってわけでもないと思うけど」 「えっ、あ……」 「いや、まぁ、それも聞いてみたらいいと思うけどね。ただ、俺は、――そうだな。仮に、だけど。それまで我慢できていたものができなくなったんだとしたら、それだけのことがあったんだんじゃないかな」  それだけのこと。再び黙り込んだ行人に、本当に聞いてみないとわからない話だけどね、という言葉が繰り返される。 「なにで我慢があふれるかなんて他人にはわからないから。いろんなしんどいが混ざった結果かもしれないし、なにか大きなきっかけがあったのかもしれないし。それがここでの人間関係なのか、あるいは、おうちのことかもしれないし」 「……そうですよね」 「うん。だから、行人の気持ちが落ち着いたらでいいから、もう少し広く考えてあげてもいいのかもしれないな」  それ以上の相談がないのなら、ひとまずこの話は終わり、という空気を察して、行人は頷いた。  ――たしかに、自分の「怖い」しか見てなかったな、俺。  言い訳だけど、こんなふうに悩むこと自体ほとんどはじめてで、余裕なんてなくて、自分の言動がまずかったのだろうということしか考えていなかった。  もちろん、自分の言動に問題があった可能性もあると今も思っている。でも、もしかすると、ほかにもなにかあったのかもしれない。  自分と違って、四谷は芯があって友人もいて、だからそういう意味で問題はないと思っていたけれど。  話せてよかった、すっきりした、と言ってくれたことが本心だったのであれば、たしかに少しおかしかったのかもしれない。

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