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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 3-1

[3]  昼休みと放課後は生徒会室に籠もる代わりに、朝は教室で過ごすと決めている。  クラスメイトと過ごしたいというよりは、教室内の様子も把握しておかないとならないという、至極現実的な理由からではあるのだけど。  ――まぁ、でも、生徒会室に入り浸ってこれ以上クラスから浮くのも悪手だしなぁ。  中等部にいたころはそんなことは考えもしなかったが、今は状況が違うのだ。その元凶を皓太はちらりと眺めた。  あの日。選挙が終わったあと、宣戦布告のようなことを言ったわりに、気味が悪いほど水城の様子は変わらなかった。  以前ほどアルファとは密に行動をともにせず、けれど、そうかと言って孤立しているわけでもない。  今も水城は自分の席に座ったまま、喋りかけにきたクラスメイトとにこにこと会話を交わしている。 「最近、高良くんと仲良しだよねー、ハルちゃん」 「……荻原」  気配なく近づいてくるところ、茅野さんに似てきたなと思ったものの、皓太はその指摘を呑み込んだ。寮生委員である以上しかたがないような気がしたし、自分も似たようなことを思われている気がしたからだ。  遅れて「おはよう」と言いながら、隣の椅子を引いた荻原が「でも、まぁ、よかったね」と人の良い調子で笑う。 「高良くん、高等部からの特進組だからさ、仲良い子ができるのはいいことだよね」 「……まぁ」  相手が相手だけどな、とも内心でのみ突っ込む。べつに、一から十まで目立って対立したいわけでもないつもりだ。

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