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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 3-2
「普通科にいたころはよっちゃんたちとよく一緒だったけど」
最近は寮でも一緒にいるところ見ないなぁ、とぽつりと荻原が言う。
「そうだっけ?」
「そうだよ。中等部のころは時雨くんと岡と四人だったじゃん」
「ああ」
そう言われるとそうだったかもしれない。頷いた皓太に、荻原がなんとも言えない笑みを浮かべた。
「高藤も、本当に榛名ちゃんのこと大きな口で言えないくらいには人間関係興味ないよね」
「そんなこと……」
「榛名ちゃんと違って名前覚えてるし、ある程度把握してるからセーフとか言わないでね。関わる気があるかどうかの問題」
「……」
それは、まぁ、積極的に関わる気はなかったかもしれないが、最低限、自分と周囲が困らない程度には関わっているつもりである。
口にしたところで、「だから、その考え方が」と言われる気がしたからだ。返す言葉はない。
「喧嘩したとかじゃなくて、純粋に特進に上がったことで勉強が大変で、遊ぶどころじゃないって感じらしいけど」
「ああ」
そういうことか、と頷く。普通科とは使用している副教材も異なっているし、授業の進行度合いも違う。途中でクラスが変わったことによる苦労はあるのだろう。
いつだったか榛名も、自分の参考書を見た際に「絶対無理」とやたら嫌そうな顔をしていた。やってできないことはないと思うのだが。それこそ自分が口を出すことでもない。
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