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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 3-3

 ちら、ともう一度ふたりのほうに目を向ける。勉強を教えてもらい始めている様子に、まぁ、水城は成績も良いから、と皓太は得心をし直した。 「まぁ、たしかにそうだよな」 「そう、そう」  適当な世間話という調子で相槌を打ちつつ、一眼目の準備をしていた荻原が「ところで」と切り出した。 「榛名ちゃん、今日も生徒会来ないの? 高藤がいじめるからだよ、かわいそうに」 「いや、いじめてないし」  すぐに意地張っちゃうタイプだってわかってるんだから、加減してあげなよ、ではない。うんざりと皓太は否定を返した。  むしろ、つい一昨日もよくわからない話を延々と聞かされたばかりである。よくわからない話と言い切ると、なんだかそれはそれで上から目線な気もするけれど、だが、しかし。  ――四谷があんな態度なのは、なにか理由があるかもしれないもなにも、理由がなかったらしないだろ。  その理由が、知らないうちに自分がやらかしたなにかに端を発するのか、あるいは、本人の問題か。またあるいは第三者が影響しているかの三択くらいのものだろう。  それを、ずっと「自分がなにかしたに違いない」と視野狭窄にぐちぐちと落ち込んでいたくせに、あの変わりよう。

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