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パーフェクト・ワールド・エンド3-9

「まぁ、それもそうか」  茅野もまた笑った。気負う風でもなく、ごく自然な、一昨日までと変わらない顔で。 「とは言え、俺は、そんなあいつだから、いろいろと期待を乗せてしまうんだが。おまえはそうじゃないんだろうな」 「……どうだろうな」 「俺とおまえじゃ立ち位置も違う。見えているものも違う。そうなれば当然、目指すところも違う。なら、仕方がない」  柊に入り浸りにならずに、今日は帰って来いよ、と。言い置いて、茅野は屋上を出ていった。  そうやって、積み重ね、乗せられていったものを、すべて失くしてしまいたい。その思考の向きが、現状、風紀と合致している。だから、今は距離が詰まっている。  ――理解しないどころか、その一端を今まで担っていたのがおまえだろうと言われるのが落ちだろうけどな。  そう言う意味では、だから自分で始末をつけてやろうかと思ったと言うことも、真実かもしれなかった。

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