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パーフェクト・ワールド・エンド4-3
「それはさておいても。良かったね、会長も寮長も公正で」
「え?」
「おかげで、思っていたよりはずっとマシじゃん。高藤の鶴の一声が効いた気もするけどねー、このクラスに置いては。視線は鬱陶しいだろうけど、そのくらいは許容範囲でしょ」
こともない調子でいてくれるのは、まず間違いなく気遣いであると分かっている。けれど、それよりも気になってしまった。
「成瀬さんたち、風紀と話し合いに行ったって聞いたんだけど。それ、どうなったか知って?」
「直接聞いたわけじゃ勿論ないけど。噂では聞いたよ」
「噂?」
「んー……、俺から中途半端な情報を得なくても、寮に戻れば正確な話が聞けると思うし。その方が良いんじゃないかな。会長も寮長も、榛名にはちゃんと話すでしょ」
当事者なんだし、と。若干、言いにくそうに四谷が視線を泳がせた。その先は、三年生の棟だ。
「でも、まぁ、……あの二人が押し負けるようなことはないと思うし。榛名に不利な結果にはなってないんじゃないかな。今のところ、風紀委員も、ほら、静かだしさ」
確かに、昨日の今日にしては、見回りを強化している風もない。
「どちらかと言うと、それより向原先輩が、さ」
周囲を気にしてか、声のトーンがますます下がる。出てきた名前の意味が分からなくて、行人は四谷の顔をまじまじと見つめ返した。四谷も首を傾げる。
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