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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 3-5
授業を軽く聞き流しながら、それにしても、と皓太はもうひとつのほうへ思考を馳せた。榛名が言っていた話のほうだ。
なにをいまさらと呆れる気持ちを抱いたことも事実で、とは言え、過剰に否定をしてもろくなことにならないとわかったので、「俺も気にしてみる」という曖昧な返事でお茶を濁したのだが。
――そもそも原因がひとつだとは限らないと思うんだけど。
人間関係というものは、さまざまな要因が絡むからこそ面倒なのだろうと皓太は思っている。だから、榛名側の原因もまったくないわけではないのだろうし、榛名が言うように四谷のほうにもなにか理由はあるのかもしれない。
実際にどうだったのかはわからないから、すべて憶測の域を出ない話だ。
だが、もし、仮に、四谷になにか理由があったとして、それを榛名や荻原に打ち明けることのできない理由があるとしたら。なにかしらの負い目と考えることが妥当なのだろうと思う。
――負い目なぁ。
これもそもそもの話だが、四谷と榛名は春ごろまでは確実に仲が悪かった。中等部時代にも小さな衝突はあった覚えがある。
――でも、これは、榛名が気にしてなさそうだから、ないな。
なにが決定的な要因だったのかは知らないが、みささぎ祭を経て少しずつ距離が詰まったことを、思いのほか喜んでいたのは――まぁ、本人はあかさらまに喜んでいるつもりはなかったのだろうけれど――榛名だ。昔のことは完全に水に流しているのだろう。
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