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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 3-7

 ――でも、まぁ、さすがに、そこが繋がってたら、茅野さんあたりが釘刺してるよな。  そう皓太は思い直した。どちらにせよ、荻原も「気にしてみる」と言ってくれていたのだから、そのあたりのことも今日の放課後に合わせて聞いてみてもいいかもしれない。ついでに、榛名にも改めてそれとなく確認をしてみても、と思考をまとめに入ったところで、「あ」と小さな声がもれそうになった。  視線を動かして、前方に座る水城をそっと窺う。いかにも集中して真面目に授業を受けている横顔。この同級生が編入してきてからというもの、さまざまなことが変わった。  皓太にとっては望んでいない事態が多かったが、すべてがすべてにとっての悪いものではないことも理解している。自分が成したいことのためには、水城は無邪気なまでにためらわないことも知っている。だから「悪いこと」も平然とできるのだ。けれど、四谷はそこまでの人間ではない。でも、だから。  ――負い目を感じることも有り得るわけで、それで、それが当初は「そこまでのこと」ではなかったとしたらっていうのが、一番しっくりくるかもしれないな。  たぶん、榛名は、想像もしないだろうし、下手をすると、もう完全になかったことにしている気がするのだけれど。高等部に上がってすぐのころ。まだ中等部のころと同様に榛名と四谷がギスギスとしていたころ、榛名が部屋の鍵をなくしたことがあった。

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