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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 3-8
いつものうっかりだろうと思っていたが、その後の顛末を考えるに、盗まれたとしたほうが、おそらくは自然だ。そのどちらかを四谷がしたとは思わない。でも、鍵の紛失もその後の侵入も、どちらも寮内であったことだ。目撃をしていたとしても、なにもおかしくはない。
そうして、それを見て見ぬふりをしたとしても。……そうして、思いのほか大ごとになる結果を招いて、言い出せなくなったとしても。そのことを、盗ませた誰かが知っていたとしても。
――まぁ、でも、ぜんぶ、可能性でしかないんだよな。
なにも書いていないノートに視線を落とし、皓太は息を吐いた。生徒会の選挙に出たいと言ったとき、成瀬は情報を正しく取捨選択をして、現状を把握しないといけないと言っていた。
そうなのだろうということはわかる。知らなければ、なにもできないままに事態が進んでしまうからだ。自分が手を出すことのできない状態になってから気づいてもどうすることもできない。
……でも、嫌じゃなかったのかな。こんな、常に誰かを疑ってるような。
誰も信じないようなこと。なんでもないことのように、さも当然と成瀬は笑っていたけれど。こんなことを言えば、甘えていると評されてしまうのだろうか。こぼれそうになった二度目の溜息を、皓太はどうにか呑み込んだ。
今は仕方がない。そうしないと整えることができないのだから。でも、いつか。甘いと言われようとも、そういったことを必要以上にせずとも問題のない場所になったらいいのに、と。そう思った。
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