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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 3-10
「共有?」
「うん。俺からというか、寮生委員会からというか。早い話が寮長から聞いた話なんだけど」
点呼の報告に行ったときに、ちょうどいいからって教えてくれたんだけど、と深刻ぶらない調子で荻原が説明をする。
「はっきり証拠があるわけじゃないし、公表するつもりはなかったとも言ってたんだけどさ。つまるところ、そういうことがあったかもしれないっていう一年のフロア長への引継ぎだったんだけど」
「うん」
「というか、榛名ちゃんが鍵なくしたっていう話は聞いてたけど、そのあと誰かに入られたかもしれなかったんだって?」
「え……、あぁ、いや」
黙っていたことを責められた気分になって、皓太は言葉を濁した。当時同じ寮生委員だった荻原に言わなかったことは事実だが、明確な証拠がなかった上に、被害があったかもしれない本人が被害を認めなかったからだ。……まぁ、すべて言い訳ではあるのだけれど。
「その、本当に『かもしれない』を出ない話だったというか……、茅野さんが公表するつもりはなかったって言ってたのも、たぶん、それが理由だったと思うんだけど。そもそも、榛名が申告してなくて。それに、俺の実費で鍵も付け替えてるし」
申告をしなかった理由もわかるので、なんとも言いづらいのだが。言い訳がましい理由を並べた皓太だったが、はたと話を戻した。
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