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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 3-11

「というか、共有って、じゃあ、見当がついてたっていうこと?」  鍵を変えたとは言え、第三者が立ち入った可能性のある部屋で、自分は今も生活をしているのだ。  荻原が前置いたとおりで、確証がなかったから口外しなかったのかもしれないが、自分にくらい教えてくれてもよかったのではないだろうか。  ――本当、そういうとこ、秘密主義っていうか、教えないよな、あの人たち。  絶対に、旧生徒会の人間も把握していた気がする。それで、その上で黙っていた気がする。子ども扱いされていたらしい事実に、知らず声にむっとしたものが混じる。  その反応に、ねぇ、と荻原が笑う。 「本当に。ある程度わかってるなら教えてくれたらいいのにね。まぁ、確証がないと、……同学年の俺たちには言いにくいのはわかるけど。絞りきれてないのに中途半端に伝えたら、疑心暗鬼になりかねないから」 「……やっぱ、うちの一年か」 「うん。寮長、名前までは言わなかったけど、うちの寮の一年で、俺たちのクラスのベータだろうって。ただ、高藤が言ったとおりで、盗難の申告が上がっているわけでもないから、寮長としては釘を刺すことくらいしかできないって」  でも、それもしかたないよね、と自分を納得させるように荻原が繰り返す。

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