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パーフェクト・ワールド・エンド4-5

「さっき、聞いたんだけど。向原先輩、生徒会辞めたって」 「え? なんで?」  四谷の声が驚きで高くなる。行人も、何も言えないまま、二人の顔をただ見上げた。 「って言うか、本当なの。それ」 「さすがにそんなデマは流れないと思うよ。俺が聞いたヤツ、生徒会の二年生から聞いたって言ってたけど。篠原先輩が朝から生徒会室で頭抱えてるって」 「……向原先輩が」  なんで、と。四谷と同じ疑問を胸中で繰り返す。なんで。  ――なんで、そんなことになった?  昨日の所為だろうかと思いかけて、すぐに違うと断定する。あの人が、俺が何か下手を打ったくらいで、行動を起こすわけがない。  あの人の行動基準は、俺にだって分かるくらい、いつも一つだ。そう、行人は思う。詰めていた息をゆっくりと押し出す。  ――成瀬さんは、どう思ってるんだろう。  その顔がふと浮かぶと、なんだかたまらなくなった。自分が心配する必要なんて、ないと分かってはいる。けれど。 「大丈夫、かな」  零れてしまった不安に、四谷と岡が顔を見合わせたのが分かった。そして四谷が眉を下げる。 「本当に、榛名は会長が好きだね」 「え? あの、いや、好きは好きだけど、それは、その憧れって言うか」 「分かってるけど。高藤も重々分かってると思うけど。高藤の前ではあんまり言わないであげなよ、それ」  良い気分はしないでしょ、と四谷が言う。

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