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パーフェクト・ワールド・エンド4-7
――俺とあの人の何がそんなに違うんだよ。
確かに、高藤は、そう言っていた。思い出した瞬間、ふっと冷たいものが走ったような気がした。俺は、なんて言ったんだった?
そう言う問題じゃない。あの人は。
あの人だけは、特別なんだ。
自分の声が脳裏を過って、行人は唇を噛んだ。
行人のことを、オメガとして扱わず、ただの後輩として接してくれた。アルファなのに、怖いと一度も思わなかった人。
けれど、その大前提が百八十度違っていたことを、その後に知った。
――そりゃ、そうもなる、な。
今朝の高藤の態度に、得心した。そこまで別の誰かを望んでいる人間と「つがいごっこ」をしてまで守ろうとしてくれるとは。あいつは本当に人が良い。どこまでも、お人好しだ。
行人が今まで通りの生活を送ることを望んでいることを察して、様々なものを呑み込んでくれただけなのだろう、本当に。
――ある意味、あいつも、アルファらしくねぇよ、マジで。
傲慢で、オメガを支配しようとするアルファ。持って生まれた才能で人の上に立つことが当たり前だと思っている王者。
そうであったはずのアルファの認識は、図らずともこの学園に入学して、徐々に崩れていっていた。この学園にいる間は、オメガもアルファも関係のない生活が送れる。そんな、甘い非現実的な夢を見ていた。幸せに溺れていた。
――あと二年もある。
本当に、このまま甘えていて良いのだろうか。考える余裕のなかったことが少しずつ頭の中で積み重なっていく。
――いいわけ、ないよな。
と帰着したところで、何をどうできるわけでもない。だから、せめて、と思った。せめて、必要以上に迷惑をかけないようにしなければならない。
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