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パーフェクト・ワールド・エンド4-9

「と、言うことは、おまえも特には知らないんだな」 「当人から、何も聞いてないからね」  そんな時間、なかったしね、と。続けられて、それはそうかと得心する。 「と言うか、噂だけでどうのこうのって、おまえが一番、嫌いなやり方じゃなかったっけ」 「……」 「昨日の今日で、話しづらいのかもしれないけど。間を置くと、もっと喋りづらくなるよ。今日、おまえが教室に行くって言い放ったのと同じ理由で」  ぐうの音も出ない正論だったが、行人は首を縦に振ることはできなかった。  ――騙されていた、と思ったわけではない。  事実を知って、同情したつもりもない。今まで通りに接することが一番だと分かっている。それができる自信がないから、決心が付かない。  ――いや、それも言い訳か。  緩やかに、けれど、はっきりと拒絶された後だ。逢うのが、怖い。どんな顔をすれば良いのか、分からないから。  ――あの人は、きっと変わらないと、分かっている、けど。  分かっているからこそ、なんだか、苦しい。 「高藤」  すっと息を吐いて、顔を上げる。 「ついでに、聞いても良いか?」 「だから、なんでもどうぞってば」  何を聞こうとしているのか見当が付くのか、それでも高藤は嫌がる素振りひとつ見せず、鷹揚と構えていた。 「成瀬さんの家って、……どんな感じなのかな、って」 「成瀬さんの?」  成瀬の話題だとは思っていても、そこまで根本的なことだとは思っていなかったのか、訝しげに高藤が眉を顰める。けれど、行人が冗談や興味本位で聞いているわけではないことも伝わっているからか。溜息一つで、「そうだな」と言葉を探し始めてくれた。

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