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パーフェクト・ワールド・エンド4-10
良いヤツなんだよな、と思う。
高藤は、基本的にまっすぐだ。良くも悪くも、恵まれて育ってきた人間の匂いがする。そして、その高藤に雰囲気の似ている成瀬も、勝手にそうなのだと思い込んでいた。
「まぁ、あの、お母さんのことは知ってると思うけど。家全体が、あぁ言う感じでね。古い、と言えば良いのか、お堅い、と言えば良いのか。まぁ、所謂ところの、アルファ至上主義のお家で」
「アルファ、至上主義……」
高藤がそう言う主張を持っている人間ではないと知っていても、胃の淵が熱くなるような気持ち悪さが湧く。
「あの、知っているとは思うけど、成瀬さんはそうじゃないからね。あれも反面教師って言うのかな……。まぁ、ともかく、そこはさておいても。あんな風に見えても、成瀬さんは大変だったと思うよ」
「あんな風って」
「ほら、あの人、正義感が服を着ているみたいに潔癖なところがあるし、あの顔だしさ。恵まれている、と言うか。これだからアルファ様はって言う風に思われていることも多々あるんだけど」
行人は、どんな顔をして良いのか分からなくなった。けれど、それを純粋な痛みと捉えたのか、高藤は特別、気にはしなかった。
だって、あの人は、――アルファではない。
周囲にアルファだと思われて、あの人もアルファとして振舞って、それがどれほど大変なことだったのか。
分からないわけがない。
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