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パーフェクト・ワールド・エンド5-4

「けど、どうしようもないだろ。篠原も知ってる通り、あいつは決めたことは変えない」 「おまえもな」  溜息一つで篠原は話を変えた。もともと、今の生徒会は人数が多くはない。補佐で入ってくれている下級生は、最近はずっと構内を走り回っていて、今日も自分たち以外には誰もいない。 「良かったのか悪かったのかはさておいて、これで対立軸はより鮮明になるな」 「風紀と、生徒会?」  この対立軸は、学園の中に昔からずっとあったものだ。自分たちの代で歪みが大きくはなったかもしれないが、それだけで。バランスは保たれていたはずだった。 「おまえと水城になるのも、時間の問題だろ」 「本尾が担ぎ上げたら、そうなるだろうな」 「おまえさ」 「ん?」 「本尾と話してきたんだろ。あいつ、どうだった?」  あの翌朝。茅野と話を付けに言ったのが、最後だ。 「それこそ、良くも悪くも、今までと変わらなかったけど」  本当に、あの男は昔から変わらない。変わるとすれば、今までずっと腹に溜め込んでいたものを放出する気になったかどうかだろう。 「どうだろうな。あいつは、……でも、まぁ、向原次第だろ」 「向原、柊に出入りしてるみたいだけど」 「知ってる」 「うちにも」 「知ってる」  同じ寮なのだから、いるかくらいは気配で分かる。いないとなれば、どこにいるかも、想像は付く。

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