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パーフェクト・ワールド・エンド5-6
――変な意味、って逆に聞くけど、なんだよ。
そんなことを声にできるわけがなかった。あるいは、俺が本当にアルファだったら、何の問題もなかったのだろうか。
アルファだったら、あるいは。――余計なことを考えずに、まっすぐに受け取ることができたのだろうか。
「どうしようもないだろ」
けれど、そうだ。一人の問題でないのなら、どうにもならないことはある。どうもしたくないことも。
「補選の準備、しないとな」
唐突な話題の転換だったが、篠原はそれ以上を続けようとはしなかった。そうだな、と息を吐く。
「推薦でめぼしい人材が出たら話が早いんだけど。一人だけ」
「この時期だったら、三年より二年の方がいいだろ。いっそのこと、一年でもいいかもしれねぇけど」
「一年、か」
脳裏に浮かんだ顔に、成瀬はどうだろうなと一考。
「皓太でいいんじゃねぇの。分かりやすくおまえの後継って感じ」
「俺が決めることじゃないけど」
まさに思い浮かべていた名前に、苦笑する。
「受けるかもしれないな。皓太がやりたいどうのと言う話じゃなくて。その方が、ここが落ち着くから」
一年後、二年後。この学園が「今」を維持するために。必要な犠牲だと言うのなら、今の皓太は受けるかもしれない。
本心は、やりたいわけではないのだろうが。
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