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パーフェクト・ワールド・エンド5-7

「あいつ、とうとう榛名に告白したんだろ。つがいになったって、うちの寮の一年も騒いでたけど」 「らしいよ」 「まぁ、それが一番無難な納め方だな。皓太もこれで言い寄られなくなってすっきりするだろ」 「かもな」 「榛名が大事なら、おまえの言う通り、出てくれるかもな、選挙。うまい具合に盛り上げたら、通るだろ」  大事なら、か。どういう顔をつくるのが正しいのか分からなくなりそうで、書類にペンを走らせる。  皓太が行人のことを大切に思っていることは、間違いがないのだろうと思う。それが恋愛と言う感情なのかどうかは分からないが。  ――あの子も、良くも悪くも、あまりアルファらしくない。  良くも悪くも、皓太がそうなったのは、自分の影響だと成瀬は思っている。己惚れではなく、事実として。  アルファであれ、オメガであれ、ベータであれ、同じ人間であることには変わりない。当たり前であるはずのことを、ずっと言い聞かせて生きてきた。物心ついたころから自分の近くにいた皓太は、その思想の影響を強く受けている。  だから、年下の幼馴染みは、成瀬に似ていると称されることが多い。まるで弟が兄の後を追って成長したようだ、と。  

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