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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 5-5

 みささぎ祭の準備を通して、本当に榛名は変わった。中等部にいた三年間、誰とも積極的な――まぁ、一部例外はいたけれど――交流は取りませんというふうに分厚い壁を張り巡らせていたのに、その壁が薄くなって、寮生や同級生と少しずつ交流を図るようになった。  成瀬や茅野は尊敬する先輩であって友人ではなかっただろうから、四谷や荻原と「ふつう」に会話をするようになって、話しかけられても嫌な顔をすることもなくなって。それは、皓太からすると本当に驚きではあったのだけれど、榛名にとっても、きっと驚きで、それで、はじめてできた友人のようなつもりでいたのだろう。  ――だから、言い方は悪いけど、仲直りしたい、揉めたら自分に悪いところがあった、って固執してる感じがするんだよな、ちょっと。  榛名本人に指摘をするつもりはないのだが、なんだかどうにも気にかかる。荻原の話を聞いたからこそ、余計に。  悶々としたものに蓋をし、ありがとう、ともう一度告げて、皓太は話を終わらせた。四谷のことはどうしようかなと悩みながら廊下を歩いていると、背後で朝比奈の声が聞こえた。岡となにか話している。話している内容までは聞こえなかったものの、ひそひそとした雰囲気が伝わってきて、なんだか少し嫌な感じだった。

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