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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 5-6

 ――任せてばっかりで申し訳ないとは思うけど。荻原に任せたほうがいいんだろうな、たぶん。  自分が出れば、火に油を結果になることは目に見えている。それに、思うところがあることを否定はしないが、孤立させたいわけではないのだ。  なんで、こう、共通の悪者を見つけだがるんだろうな。うんざりとそんなことを思う。水城もよく使っている手けれど、高等部に上がってから、顕著に目立つようになっている気がした。  もともとが娯楽の少ない寮生活だ。いろんな噂話は昔からあったし、軽いいじめのようなものもなかったとは言わない。「全員で仲良し」なんていうことは幻想だと承知しているが、一対集団になる構図は避けるべきだろう。それに、とも思う。  ――なんの根拠もないから、結局、ただの勘だけど。こうやって内輪もめみたいになってんの、なんかすごい水城の思い通りって感じするんだよな。  それがただの被害妄想だというのなら、それはそれでいいのだが。いまさらながらに蒸し返された春先の鍵の件も含めて、やはり嫌な感じだった。

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