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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 5-11

 そうして、第三者だからこそ気軽に「面白いほう」に流されていく。いつだったか篠原が言っていたことだ。  そのとおりだと思うし、この学園はそういった空気を加速させる雰囲気に満ちている。この春以来、もう、ずっと。 「うん、そうだよな。……でも、せめて、できるだけ気にしないようにする」  俺にできることなんて、そのくらいだし、と自分に言い聞かせるように榛名が続ける。 「それでも、一番の当事者は俺と四谷なわけで、だから、俺が本当に気にしてないって顔してたら、ちょっとはマシだと思うし」  今のおまえがそれをしても、いつかの水城みたいに「健気」って勝手に判断されるだけだと思うよ、とはさすがに言うことはできず、そのほうがいいかもね、と皓太は返した。  実際のところ、それ以上の最善があるとも思えなかったからだ。榛名が悲壮な顔をするよりは四谷に対する当たりが減ることは事実だろうし、少なくとも榛名が非難されることはない。  四谷が過度に大多数から責められる状況は回避したいと思っているけれど、皓太にとっては、そちらのほうが重要だった。

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