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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 6-1
[6]
寮の食堂では姿を見かけなかったものの、さすがに教室には来ると思っていたのだが、求めていた姿が見当たらない。時刻は、一限目が始まるまであと十分ほどというところだ。
……やっぱり、寮出る前に声かけたほうがよかったかな。
いや、でも、プライベートな空間まで押しかけられたくはなかったかもしれないし。まぁ、一度、やらかしてはいるのだけれど。
そんなふうに悩んでいるうちに、教室の出入り口のほうばかりをちらちらと見てしまっていたらしい。いつのまにか近くに来ていた岡に「四谷?」と尋ねられ、はっとして行人は頷いた。
「あ、うん」
「大丈夫。もし、今日もなんか言われたら、俺が間に入るし」
その、ちょっと遅いなと思って、と続けようとした台詞に被さった内容に、軽く眉を寄せる。意味がわからなかったわけではないが、あまり理解したくなかったからだ。
「高藤にも頼まれたし。だから、そんなに気にしなくても……」
「え?」
今度は、はっきりと怪訝な声が出た。高藤に頼まれたとは、いったいなにが。どのタイミングで。
……そういや、昨日、なんか、夜ちょっと出てたな、あいつ。
とくに気にしてもいなかったのだが、もしやそのときにそんな話をしていたのだろうか。
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