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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 6-2

「いや、……っていうか、その、べつに間に入ってほしいとか、なくて」  高藤に対してムッとしそうになった感情を押し込めて、行人は取り繕った。昨日の夜、寮の部屋でした話を思い出す。せめて、自分がなんともないという顔をしていないと、事態はより悪いほうに流れてしまう気がした。  それに、そもそもではあるけれど、自分が教室で傷ついた顔をしなければ、ほかの人間に気を遣わせる事態になっていなかったはずで。  あのときの自分の反応を悔やみつつ、言葉を継いだ。大げさになりすぎたり、必要以上に攻撃的になったりしないよう、細心の注意を払う。 「ちゃんと来るのかなって気になっただけ。それに、べつに、俺は本当に気にしてないから」 「気にしてないって、昨日めちゃくちゃ落ち込んでたじゃん」 「いや……」  それは、まぁ、そうなのだけれど。でも、あの場ではできなかったけれど、自分の中である程度の落としどころは見つけることができたというか。どこからどう説明しようかと悩みつつ、口を開きかけた瞬間。違う声が割り込んできた。べつに、たいして親しくしているわけでもないクラスメイトだ。

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