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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 6-3

「四谷の話? きついやつだけど、さすがに昨日のあれはなかったよな」 「え……、あ、いや、本当に」 「たしかに。聞いてて、僕もちょっとびっくりしたし、嫌だったもん」  今度は、またべつのクラスメイトの声。自分の机の周りに人が集まっている現実に、行人は戸惑った。中等部にいたころと比べたら、クラスメイトたちと話をするようになった。それは事実だ。でも、こんなふうに喋りかけられることなんてなかったはずだった。  ――やだな、これ。  なんだか、すごく嫌な感じだ。悪口を言う権利を得たかのような、自分たちの諍いをだしにして楽しんでいるような空気。 「べつに、本当に、俺は気にしてないから」  強く言わないようにしようと思っていたのに、きつい声になってしまった。驚いた瞳に変わったものの、すぐに労わる調子に変わる。慰めるように「庇わなくてもいいのに」と言う。でも、それは、そのほうが都合がいいからだと思った。  どうにか丸くおさめようとしていたはずの気持ちも吹き飛んで、行人はもう一度はっきりと言葉にした。 「庇ってるとかそういうことでもないし、そもそも、第三者がどうのこうの言う話じゃないだろ」  そんな、いじめてもいい、みたいな。自分たちは正義の側で、向こうだけが悪い、みたいな。そういった空気が、似非臭い善意が、なんだかめちゃくちゃ腹が立った。  かつて、自分が受けていたものだったせいもあったかもしれない。

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