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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 6-12
ふっと四谷が諦めたように笑った。
「榛名って、あまいって言われるでしょ」
「言われたことないと思うけど……、でも、そうだな。身内にはあまいのかも。敵だって思ったら、すぐ言い返したくなるけど」
高藤に何度苦言を呈されても、すぐに頭に血が上って言い返してしまいたくなるし、間違いなく自分は気が短いのだと思う。でも、そうじゃない場合もある。不審そうに四谷は問い返した。
「身内?」
「四谷は嫌かもしれないけど、俺は四谷のこと友達だって思ってて。だから、もし困ってることがあったら、役不足かもしれないけど、力になりたいし、嫌になったりしない」
「榛名って、そんなんだったっけ?」
なんか、もう馬鹿馬鹿しいんだけど、と。呆れたようでいて心なしかほっとしたように苦笑するので、変わったんだと思う、と行人も笑った。
中等部にいたころの自分は、ほとんど誰も信用できず、硬い殻に籠っていたころの自分であったら、きっとたしかに言わなかっただろう。
「四谷たちが仲良くしてくれるようになって、変われたんだと思う」
「高藤がいたからでしょ」
「うん。でも、四谷のおかげも絶対ある」
「……」
「あと、荻原とか、岡とか。成瀬さんたちはもちろんだけど、交流が増えて、たぶん、視野も広がったんだと思う」
だから、ありがとう、と行人は言った。
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