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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 6-15

「それがいいと思う。俺もできることは手伝うし」  一拍置いて、四谷が笑う。 「頼りにしてる」  冗談めかした口調だったけれど、ほんの少しでも本心で思ってくれていたらいいと思った。かつて、行人は、他人を頼るようなことは絶対にしないと思っていた。  オメガだろうがなんだろうが、自分の力で合格した以上は、自分ひとりでこの学園を卒業しようと思っていた。今になって思えば、現実を知らなかった、幼い子どもの意地だったのだろう。  でも、今の行人は、頼らないことをかっこいいとは思わない。頼らないことを自立だとも思わない。オメガだから劣っているわけではない。ただ純粋に自分がまだ未熟だから、だから、頼るし、頼ってほしいと思う。  自分はひとりですべてをできるような強さも器用さもきっと持ち得ていないから、これからもそうやってゆっくりと歩いて、大人になっていくのだろう。それは存外と悪くない未来に思えた。  その同級生が行人たちの部屋に入るところを見たのは本当に偶然だったのだと、四谷は言った。でも、そのときはたいしたことではないと思ったのだそうだ。その同級生が――いわゆる性質の悪いタイプではなかったから、大事になるようなことはなく、ただの嫌がらせだろう、と。わざわざ自分が口を出して大事にする必要はないとそう考えたのだと言っていた。

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