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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 6-21

「俺、高藤にちゃんと話してもいい?」 「ちゃんと?」 「好きだって、言ってもいい? 言うつもりなんてなかったけど、やっぱり駄目だ。このままじゃ、俺はなにも変われない。前にも進めない」  だから、と行人をまっすぐに見つめたまま四谷が宣言をする。 「ずっと好きだったって、今も好きだって。ちゃんと言うよ。俺のために」 「それは、その……俺が許可するようなことじゃないし」  驚いたせいなのか、なんだか妙にもごもごとした返事になってしまった。でも、そうだ。誤魔化すように行人は言い足した。 「四谷が納得するようにしたらいいと思う」 「それ、本音?」 「うん。……あ、えっと、そのつもりだけど」 「ムカつくなぁ」  言葉とは裏腹にしかたないという顔で笑って、四谷は再び歩き出した。返す言葉もないまま後を追った行人に、四谷は言った。 「榛名も、後悔しないようにね」  視線は合わなかった。後ろ頭を見つめ、うん、と頷く。後悔しないようにしたいと自分だって思っている。四谷はもう一度小さく笑ったようだった。 「ずっと同じなんて、あり得ないんだから」  だから、ちゃんと動かないと後悔するよ、というようなそれに、うん、と同じ相槌を繰り返す。  そのとおりだとわかっていたからだ。そのために自分がなにをしなければならないのか、ということも。

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