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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 7-4
反応に迷っているうち、荻原はあっさりと話題をしめた。
「だから、なんていうか、本当にお節介ではあるんだけど。もし次があれば、真剣に向き合ってあげてもいいんじゃないかなって。高藤からしたら『よく知らない子』でも、その子にとっては、その子なりの本気なんだよ。好きだって思って、行動で示す程度には。たぶんだけどね」
「……べつに、そこまでおざなりな対応してきたつもりはないんだけど」
「でも、面倒くさいって思ってたでしょ? そう思う気持ちもわからなくもないけど、次はもうちょっと相手の子に寄り添ってあげてもいいんじゃないかなっていう話」
なんだ、それ。と思ったものの、寸前のところで皓太は言葉にしなかった。なんとも言い難い棘を感じたからである。窺った視線を受け、荻原はわずかにバツの悪い顔で笑った。
「これもたぶんだけど、榛名ちゃんがちらちら見てるのも、このあたりが理由だと思うよ。直接聞いたわけじゃないけどね」
「榛名が……」
「たぶん、今、高藤が考えてるので合ってると思うけど。つまり、そういうことだから。タイミングつくってあげてとまで言う気はないけど、タイミングに気づいても潰さないで、ちゃんと最後まで言わせてあげて。それで、考えてあげてよ。対個人として」
その他大勢ではなく、対個人として。最低限その程度の対応はすべき相手だろう、と。念を押された気分で、皓太は小さく「わかったよ」と応じることになったのだった。
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