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パーフェクト・ワールド・エンド5-10

「でも、誘導する必要もないと思う」 「そうか」 「うん」 「……おまえが言うなら、そうなんだろうな」  微かにほっとしたように篠原が頷いた。 「それなら、その方向で動くか。ついでに面倒だから補佐も増やすか」 「あー、……そうだな」 「あのな、成瀬。この際だから言わせてもらうけど。そもそもうちの生徒会が慢性的に人手不足なのはおまえのえり好みが激しいからだからな」 「規定には反してないだろ」  反してはないが、最低限の人数で運営を回していた自覚はある。向原も、あまり人数を増やすことを好んではいなかったから、と言うのも理由の一端ではあったけれど。 「人数が多くても、面倒だし」 「おまえに憧れて入りたがっていた奴らに聞かせてやりたいわ、それ」  その言いように、思わず笑みが落ちる。 「その時代のうちに入れておいたら良かったな、確かに」 「今もべつに、おまえの近くに来たがるやつはいくらでもいるだろ」  気を使われているのが分かって、変わらないなと思った。本当に、ある意味で一番変わらないのは篠原かもしれないとすら。 「補選の手続きもあれだけど、適当に帰っていいよ」 「おまえは?」 「もう少ししたら帰る」 「じゃ、それくらいまでは付き合ってやるよ」 「篠原」  処理の終わった書類をまとめながら、言う。 「おまえ、向原に何か言われただろ」  責めるような声にはならなかったと思うが、篠原はどこかバツが悪そうだった。 「だから、あいつはおまえのこと大事にしてんだって。本当に」  諦めたような口調で繰り返されたそれに、成瀬はそっと笑った。

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