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パーフェクト・ワールド・エンドⅤ 0-5
――本当に、ちょっとでも変わってるのなら、それはすごくうれしいけど。
放課後。ほんの少し教室で課題をしてから生徒会室に向かっていた行人は、昼休みのことを思い返していた。
また励ましてもらったなぁと思うと申し訳ない気もするし、同時に、相談はさせてもらえなかったなぁとも思う。
甘えた考えだということはわかっているし、成瀬のあれは「相談する相手はほかにいる」というやんわりとした意思表示なのだともわかっているけれど。
とにかく、生徒会室には今までどおり顔を出そう。そう決めて気持ちを新たにした瞬間。「榛名くん」という声が背中にかかった。ひさしぶりに聞く、愛想の良い高い声。
振り返ると、予想通りの顔がにこにことほほえんでいた。
「ひさしぶりだね。大変だったって聞いたけど、大丈夫?」
春のころはいつも周囲に誰かがいたのに、水城はひとりだった。夏休みが明けたころから、水城がひとりで行動することが増えたことは知っている。気になってしまって尋ねた行人に、「クラスではふつうに友人と過ごしているから、変に気にすることはない」と高藤は答えたけれど。
身体に力が入ったことを悟られないように。また過剰に攻撃的にならないように。気をつけて、行人は問い返した。今はほかに人がいないとはいえ、校舎内の廊下だ。いつ誰が通りかかるかわかったものではない。
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