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パーフェクト・ワールド・エンド7-5

「なんか、すみません。あいつ、分かりやすくて」  全く謝る雰囲気はないが、それも今更だ。 「あいつからすれば敵みたいなものだろ。気にしてねぇよ」 「みたいな、ですか」  含みのある声に、続きを視線で促がせば、高藤が肩を竦めた。 「いや、なんでもないです。らしいなと思っただけで」  らしい。この年下の子どもから見た自分がどう映っているのか、ある程度の予測は付くけれど。 「向原さんは興味はないと思うんで、勝手に……まぁ、俺が言いたいので言うだけですけど」 「なにを?」 「まぁ、何と言うか。俺は、向原さんのことは信用してるんで。たぶん、茅野さんや篠原さんと同じくらいには」  それはまたひどく青臭い言葉を選んだなと思ったが、わざとだろう。 「だから、気にしないでください」 「おまえの勝手だとは思うけど、物好きだな。相変わらず」 「やだな。こう見えても、小学生だったころから向原さんに遊んでもらってたじゃないですか」  懐かしい話を持ち出して、笑う。そう言えば、そんなころもあった。 「何を選んでも、最終的には成瀬さんを傷つけないだろう、と言う一点に置いては」

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