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パーフェクト・ワールド・エンド8-2
「そっか。高藤が抜ける分、寮生委員会は穴が出来るもんな。じゃあ、しばらく大変だ」
「でも、本当に、それほどでも。みささぎ祭も終わったし、基本は点呼と。……次に死ぬほど忙しくなるのは年度末だって言われた」
そう、同室者も言っていたはずだ。細々としたことは基本的に荻原がやるし、おまえは荻原に言われたことをやってたら良いよ。点呼も二人一組でやるだけだし。茅野さんへの報告は荻原がするし、と。
なんだかおまえには何も期待していないし、余計なことをするなと言外に告げられたような気がしないでもないが、それはあまり深く考えないことにする。
――なんか、考えだしたら、また腹立ってくるし。
高藤が悪いわけではないのだが、気を使われていると判断した瞬間に、苛立ちがむくむくと湧き出してくるのだ。
――まぁ、つまり、俺の問題なんだけど。そもそも、あいつに対して「ムカつく」とか「腹が立つ」とか思ってる人間って、僻んでるヤツを除けば俺くらいだろうし。
四谷のように憧れている生徒の方が、ずっと多かった。
「あのね、榛名」
その四谷が、どこか呆れたように忠言する。
「それを言ったのはたぶん高藤だと思うけど。榛名も良く知ってると思うけど、高藤って、基本的に仕事をこなすのも早いし、器用だから。その高藤と同じ認識でいると、たぶん死ぬよ」
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